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ガソリン供給の不安定さ

ガソリンや軽油など、液体の化石燃料は「原油」から精製されます。原油は油田から採掘されるそのままの化石燃料のすがたです。この原油が、今世界を支えるもっともパワフルなエネルギーなのです。原油を燃焼させることで、私たちは莫大なエネルギーを取り出すことができ、地盤を砕く掘削機械や輸送機械を直接稼動させたり、「電気」などにエネルギーを変換しながら利用しています。

世界の工業を発展させたのは原油であるといってもよく、大人から子どもまで、その恩恵を受けていない人はいないともいえるでしょう。ただひとつ、この原油に不安な点があるとすると、「そのほとんどを輸入する必要がある」ということです。日本にも確かに油田はあるのですが、国内の消費をまかなうのは到底無理な量しか採掘されていません。つまり、原油は「輸入」する必要があります。それも「特定の地域」でしか採掘されないのです。

工業化が始まって以来、依存せざるを得なかった原油、石油は、自国では自給できず、輸入する必要があります。それも、原油を世界に供給できる地域は限られています。日本の場合は「中東」から原油を調達しています。中東は政治的な情勢が不安定な地域です。情勢によっては紛争が起こったりする、極めて危険な地域でもあります。日本に供給される原油はその不安定な中東から「海路」で届けられます。

ガソリンの価格が安定せず、変動するのはこの 中東情勢も影響します。当然調達が困難になればその価格は急激に上昇することになります。「今週はガソリンが安い」、「先週よりも値上がりした」などという感覚はドライバーにとっては「普通」の感覚になってしまっています。それはガソリンスタンドからガソリンが供給されるようになってから今日まで、ずっと続いてきたことだからです。ですが、そんな原油供給も、一時期には危機的な状態に陥ったこともあるのです。

「オイルショック」です。リアルタイムでこの事件を経験した方、記憶している方もいらっしゃるかもしれませんが、このときに私たちがどれだけ「ガソリンに依存しているのか」ということが浮き彫りになりました。車の燃料としての原油だけではありません。生活の中のあらゆるものが石油に依存している状態だったのです。ですが、石油の供給が危機を迎えても、それを乗り越えると私たちはそれまでの生活を変えることができませんでした。変えたくても変えられないということが実際だったのです。

ガソリンの供給は安定したように見えても、その影で国際情勢や一部の地域の情勢を鑑みたものになっています。無限に存在するエネルギーではないですし、一部の油田が枯渇すれば当然違う油田からの供給を確保する必要があります。いつ原油がなくなるかもわかりません。そのような危うい状態でありながらも、石油に依存せざるを得なかったのはその莫大なエネルギーです。石油に変わる巨大なエネルギーは他にはないからです。電気をつくるのにも石油が用いられ、あらゆる石油製品も生活の中に溶け込んでいます。今私たちから石油が奪われると、文明活動自体が停滞することになるのです。ですが、確実に無限ではないエネルギーなわけです。

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